どらま館ショーケース2019
2017年にスタートした「どらま館ショーケース」は、若手の優れた舞台芸術団体3〜4組がそれぞれ30分程度の短編作品の上演を連続して行なうショーケース公演である。
− − − 参加団体 − − −
スペースノットブランク
小野彩加と中澤陽が舞台作品を制作する組織として2012年に設立。東京を拠点として舞台作品の制作を中心に活動を展開。
舞台芸術の既成概念に捉われず新しい表現思考や制作手法を取り入れながら舞台芸術の在り方と価値を探究している。
環境や人との関わり合いと自然なコミュニケーションを基に作品は形成され、作品ごとに異なるアーティストとのコラボレーションを積極的に行なっている。
2017年〈第8回せんがわ劇場演劇コンクール〉にてグランプリ受賞。2018年〈下北ウェーブ2018〉及び〈高松アーティスト・イン・レジデンス2018〉に選出。
関田育子
立教大学現代心理学部映像身体学科卒。
2016年に同学科教授・松田正隆氏が代表をつとめる、マレビトの会のプロジェクト・メンバーとなる。フェスティバル/トーキョー18主催プログラム『福島を上演する』に演出部として参加。
主な作品に、『驟雨』(2017年11月、あうるすぽっと)、『夜の犬』(2018年8月、SCOOL)など。
ゆうめい
2015年、舞台作品・美術・映像を制作する団体として設立。自身の体験や周囲の人々からの「自分のことを話したい」という声を出発点として、生々しくも多種多様に変化していく環境と可能性を描く。
小説・MV・アニメーション・セット制作などにも着手し、表現団体としての枠を拡張するため積極的に活動中。 2015年にアニメーション作品「ちゅうちゅう」が六本木アートナイトTOKYO ANIMA!始め、オランダ国際アニメーション映画祭等に数々ノミネート。
2017年に舞台作品「弟兄」が「下北ウェーブ2017」選出。「弟兄」(再演)が「TV Bros.」内「2017年のベスト演劇」に選出。2018年に舞台作品「巛」が「CoRich舞台芸術まつり!2018春」にて準グランプリ受賞、「家を走る」が「第9回せんがわ劇場演劇コンクール」にて特別賞を受賞。
− − − 公演内容 − − −
スペースノットブランク
「共有するビヘイビア」
演出・出演:小野彩加、古賀友樹、中澤陽
協力:プリッシマ
製作:スペースノットブランク「共有するビヘイビア」では、私たちが日常的に行なっている作品の制作手法を観客たちと共有し、生み出された作品を世界へと共有します。行動としての制作を分解し、そこから生まれる作品を観客たちと共有することで、観客たちが私たちの作品を追体験しながらそこに実在する舞台という空間の一部を想像力によって担うことになります。作品が作られ、すべての地点に於いて作品が作品であり続け、作品が舞台と観客席を通過した後にも、作品として共有され続けていくものとして、どのような変遷を辿るのかを探究します。
関田育子
「柊魚」
作・演出:関田育子
出演:青谷奈津季、黒木小菜美、小久保悠人、長田遼、我妻直弥
制作:長山浩子、馬場祐之介
協力:久世直樹
私たちはいま、有用性の中で規定された距離感などの知覚、あるいは物事に対する遠近法を一度解体し、全てのものを等価に把握するような新たな視点を構築する演劇作品の創作を試みている。この演劇を『広角レンズの演劇』と名付ける。
ゆうめい
「粘土ごと」
作・演出・出演・美術:
新井秀幸、池田亮、五島ケンノ介、小松大二郎
関彩葉、田中祐希、的場裕美、山﨑洋司
脚本:池田亮
制作:黒澤たけるどらま館ショーケース、30分ぐらいの時間を頂きました。ゆうめいって、何をしてるのかをお観せします。「へー」だったり「うそつけ」だったり「バーカ」だったり、いろいろと心の中でご意見いただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。
STAFF
舞台監督:黒澤多生
照明:小駒豪
音響:櫻内憧海
装置:溝口敦士
舞台協力:海老原翠
宣伝美術:内田涼
制作: 黒澤たける
web制作:長山浩子
劇場制作:宮崎晋太朗
協力:シバイエンジン
早稲田小劇場どらま館運営協議会
− − − 公演日程 − − −
1/18 (金) 19:30
1/19 (土) 15:00 / 19:30
1/20 (日) 15:00 / 19:30
1/21 (月) 15:00
AFTER TALK
1/18 (金) 19:30佐々木敦批評家、HEADZ代表1/19 (土) 15:00いとうせいこう作家、クリエーター1/19 (土) 19:30宮沢章夫劇作家、演出家1/20 (日) 15:00鞍田崇哲学者1/20 (日) 19:30鈴木瞬精神科医1/21 (月) 15:00徳永京子演劇ジャーナリストRECOMMEND
2019年の「どらま館ショーケース」も、注目すべき才能が集まった。いずれもまだ若い演劇作家たちである。作風は三者三様だが、彼ら彼女らの舞台/作品は瑞々しく活き活きとしている。先行者へのリスペクトと矛盾しない純然たる新しさへの志向と、それを単なる一過性の評価では終わらせない覚悟と野心が感じられる。考え深くも大胆不敵な新鋭たちなのである。
スペースノットブランクは、小野彩加と中澤陽の二人組。2017年に「ラブ・ダイアローグ・ナウ」で「第8回せんがわ劇場演劇コンクール」のグランプリを受賞したのをきっかけに多方面からの注目を集めている。俳優からの聞き取りや制作プロセス自体を作品内容に導入するポストドキュメンタリー演劇的な手法と、ダイナミックな身体表現とが合体したスタイルは、他に類を見ないオリジナリティを放っている。小野はピチェ・クランチェン、かえるP、黒沢美香などの作品にダンサーとして、中澤はゆうめいやヌトミックに俳優として出演するなど個々の活動も充実している。
関田育子は2018年に立教大学現代心理学部映像身体学科を卒業、同大では松田正隆教授に師事、現在は松田が代表を務める「マレビトの会」の演出部に所属しつつ、自らの作演出作品を次々と発表している。「マレビトの会」の極度にストイックでミニマルな方法論を踏襲しながら、映画や音楽、お笑い等からの影響を感じさせる才気走ったアイデアを持ち込むことで独自の作風を追求している。これまでの作品に『驟雨』(2017年)、『寄居虫の丘』『人々の短編の集』『夜の犬』(いずれも2018年)など。
ゆうめいは、ハイバイやサンプルで演出助手や役者を務めてきた池田亮が劇作、演出、美術などを行なう劇団。メンバーにも演技に留まらない多様な表現者が揃っている。主に池田自身の(おおむね悲惨な)実体験にもとづく物語を、洗練された舞台造形と巧みな語り、魅力的な演技で描き出す。2017年の『弟兄』で注目され、2018年には『巛』で「CoRich舞台芸術まつり!」準グランプリを、『家を走る』で「第9回せんがわ劇場演劇コンクール」の特別賞を受賞した。
はっきり言って、三組とも必見である。演劇ファンはもとより演劇知らずの方も沢山の発見があることだろう。
佐々木敦(批評家)
Contact Us
dramakan.sc2019@gmail.com
早稲田大学 学生生活課(担当:宮崎)
TEL:03-3202-0706
Wed. − Fri. / 10:00 − 17:00
© dramakan-showcase 2019